むくみのブログ⑪ 終末期のむくみ その1

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平和台の治療院より、、

 

今回取り上げるのは『終末期のむくみ』についてです。昨今、病気の回復が見込まれない方が、病院ではなく、自宅で最期の時を迎える方が多くなりました。

私たちもこれまで多くの終末期の患者様に接してまいりました。少しでも苦痛が楽になるよう、心地よい時間を過ごすことができるよう、日々努めております。

終末期の患者様は、さまざまな症状に見舞われる中で、むくみにお悩みの方も多くいらっしゃいます。むくみにより重だるさや疲労感を感じたり、皮膚がつっぱって痛みを感じたり…そんな終末期のむくみの原因について、詳しく見てまいりましょう。

 

①筋力の低下によるもの

終末期となると、筋力が低下し身体を動かす事が難しくなり、寝たきりの時間も長くなりがちです。体内の水分の循環が滞り、むくみが生じやすくなります。また、がんが転移したことで運動神経障害が起こると麻痺のある部位にむくみ起こりやすくなります。

 

②栄養状態の不良によるもの

体調が優れず食事があまり摂れないと、血液中の蛋白質の濃度が減少しむくみが生じます。これを『低蛋白性浮腫』といいます。できる限り食事(特に蛋白質) が摂れると良いですね。

 最近は各メーカーからドリンクタイプの高カロリー栄養補助食品が発売されており、味も豊富にありますので、食事がなかなか摂れない方にはおススメです。薬局でも気軽に購入できます。 

 

③肝臓や腎臓の機能障害や転移

肝臓や腎臓は、体内の水分量を調整しています。それら臓器の機能低下や、臓器自体が癌に罹患したことでその働きが妨げられると、むくみや腹水が生じることがあります。

 

④抗がん剤によるもの

抗がん剤の中には、副作用としてむくみが生じるものがあります。乳がん、子宮がん、卵巣がん、胃がんなどで 使用されるタキソテール(一般名:ドセタキセル)は、発赤特有の硬い浮腫になることがあり、関節が動かしにくくなったりします。早期にマッサージなどを行うことで、症状の緩和が期待できます。

 

⑤リンパ節やリンパ管へのがん転移

リンパ節リンパ管は、体内の老廃物を含んだ水分が流れる排水溝のような役割をしています。この部分にがんの転移があると、むくみや生じやすくなります。

 

⑥急性静脈血栓・塞栓症によるむくみ

がんに罹患された患者様は癌細胞、手術、薬剤などさまざまな要因により血液が固まりやすい病態にあり、血栓を起こしやすくなります。また、寝たきりで活動量が減ったり、水分をあまり摂れずにいることも血栓が起きやすくなる原因となります。

  (詳しくは『むくみのブログ④』をご覧ください)

 

 

 他にも 終末期のむくみの原因は色々ありますが、いずれかひとつに当てはまるというより、これらの原因が複数絡まって起きていることが考えられます。終末期に生じるむくみの原因は、主に内臓疾患によるものが多いため、全身にむくみが生じますが、重力により、 主には足がむくみやすくなります。

 

また、むくみが急激に発症して悪化することがあります。むくみにより皮膚が脆弱で傷つきやすく、傷ついた部位から感染を起こしやすい状態です。潰瘍や床ずれを引き起こしやすくなったり、引き伸ばされた毛穴から水分が漏れ出すこともあります。

 

残念ながら週末期のむくみは、完全に取りきる事はむずかしいです。むくみを取ろうと躍起になりすぎると、移動した水分が心臓に負担をかけたり、腹水や胸水を増やしてしまう事にもなりかねません。しかし、症状を緩和しQOLを向上させる事はできます。 患者様の病態を考慮した上で、負担のない範囲で行うようにしましょう。むくみ軽減に捉われ過ぎないこと が大切です。

 

 次回、むくみケアについて、詳しく説明してまいります!

 

 

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